疲労回復+筋肥大サポート
トレーニング後に食べたい
超お手軽レシピを大公開!

トレーニング後の食事の取り方のポイントを教えてください。
いちばん大切なのは、疲れていても、忙しくても、食事を抜かないことです。「プロテインでタンパク質を取ったからいいや」というトレーニーもいますが、プロテインのようなサプリメントはあくまで栄養補助食品。食事を補うものであり、食事の代わりにはなりません。なぜなら、サプリメントと違い、食事には多種多様な栄養素が含まれており、トータルで体作りをサポートしてくれるからです。
トレーニング後の食事で、気を付けてもらいたいポイントは大きく3つあります。
第一に、タンパク質が不足しないようにすること。言うまでもなくタンパク質は筋肉の原材料ですから、せっかく筋トレに励んでも、タンパク質が足りないと、思ったように筋肉は肥大しません。体格やトレーニング内容によっても変わりますが、1食25g以上を確保しましょう。タンパク質が足りないと、筋肉の疲労回復も遅れてしまいます。プロテインもいいですが、なるべく食事から取るのがおすすめです。
第二に、主食などの糖質を制限し過ぎないこと。糖質の過食は肥満や糖尿病などの引き金となりますが、トレーニーは糖質を控え過ぎるのもNGです。糖質を取ると分泌されるインスリンというホルモンには、成長因子としての働きがあり、筋肥大を助けてくれるからです。
第三に、カロリーを控え過ぎないこと。サラダチキン+茹でたブロッコリーといった低カロリー&高タンパク質メニューは魅力的ですが、カロリーが全然足りないので筋合成も疲労回復もスムーズに進まないのです。むろんカロリー過多で余計な体脂肪は付けたくありません。1食当たり400〜600kcal程度に収めるといいでしょう。
その3大条件を満たしつつ、疲れてヘトヘトでも作れるレシピってありますか?
今回、レシピを2つ紹介しますね。まず、作り置きもできる「チリビーンズ」です。タンパク源というと肉か魚が定番ですが、豆類や乳製品からもタンパク質は取ることができます。特に植物性の豆類には、動物性の肉や魚や乳製品には含まれていない食物繊維が入っており、腸内環境を整える作用も期待できます。このチリビーンズでは、肉(牛赤身ひき肉)、豆類、乳製品(カッテージチーズ)から、タンパク質がトリプルで補給できます。
脂肪分が少ない牛赤身とはいえ、ひき肉だと脂質はやや多めです。そこでひき肉の脂質でにんにくや玉ネギを炒めることにより、植物油フリーで仕上げています。にんにくには、疲労回復を助けるビタミンB群が含まれています。糖質は、豆類とクラッカーから補えます。
紹介している材料は1人前(1食分)で、玉ネギ、ブロッコリー、豆類の缶詰、トマト缶は、いずれも4分の1ずつ使います。つまり4人前(4食分)作れば、これらの材料を使い切ることができます。ここはぜひ4人前を一度に作り、残りの3人前は作り置きにしましょう。1人前ずつタッパーなどの密閉容器に入れて冷凍保存すれば、1〜2カ月は保存がききます。その際は、必ず清潔な容器を用い、粗熱が取れてから冷凍庫に入れるようにしてください。保存後は、レンジでチンするだけですぐ食べられます。このレシピは約400kcalでトレーニング後の補食のイメージですが、1食分に“格上げ”するなら、クラッカーの代わりに食パン8枚切り2枚を添えると583kcal、タンパク質は30.7gとなります。
冷凍保存OK!タンパク質と野菜盛り盛りの
チリビーンズ
カロリー:408kcal
タンパク質:26.6g
【材料(1人前)】
- 牛赤身ひき肉
- 80g
- 玉ネギ
- 1/4個
- にんにく
- 1片
(チューブニンニク2cm分でも可)
- ブロッコリー
- 小房5個(全体の1/4個)
- 好きな豆類の缶詰
- 60g(1/4缶)
- トマト缶
- 1/4個
- カッテージチーズ
- 大さじ2
- スパイス
(クミン、コリアンダー、オレガノ、チリパウダーなど) - 好きなものを適量
- 粉末コンソメ
- 小さじ1/2
- 乾燥パセリ
- お好みで
- クラッカー
- 3枚
【作り方】
玉ネギ、にんにくをみじん切りにする。ブロッコリーは粗く刻む。
熱したフライパンに牛ひき肉、にんにく、玉ネギ、スパイスを入れて炒める。
2にトマト缶、豆類、コンソメを入れ、具が浸る程度の水を入れてふたをして煮込む。
煮詰まってきたら、ブロッコリーを加えて火を通す。
器に盛り付け、カッテージチーズを乗せ、パセリを散らし、クラッカーを添える。
【実食MEMO】
これで400kcal台!?とビックリするほどの食べ応え。ブロッコリーの食感もGOOD。スパイスの風味が食欲をそそり、クラッカーに乗せて何枚でも食べたくなります。
とてもおいしそうですぐ作りたくなりました!もう一つのレシピも気になります。
続いては、フライパン一つで作れる「ワンパン」レシピです。洗い物も少なくて大助かりです。パスタ料理では具材をフライパンで作り、パスタは鍋で茹でるのが普通。でも、このレシピでは、具材を作っているフライパンにスパゲティを入れて、一緒に茹でてしまいます。茹で時間11分前後のスパゲッティなら、500mlの水とともにフライパンに加えると、水気がなくなる頃にスパゲティがちょうど茹で上がっているはずです。
タンパク源は、サバ。仕上げに乗せる温泉卵からも、1個で6g前後のタンパク質が取れます。サバなどの青魚に含まれるEPAやDHAといったオメガ3系脂肪酸には、体脂肪を減らす作用も期待できます。サバ缶は商品によっては生臭さが気になりますから、水気をよく切って身だけを使い、さらにレモン汁で臭みを抑えます。レモンに含まれているクエン酸は、疲労回復効果が知られています。「チリビーンズ」と同じく、にんにくから疲労回復を助けるビタミンB群が取れます。
スパゲティにも、原料の小麦由来のタンパク質が含まれています。また、乾麺なら消化吸収がゆっくり進み、血糖値の上昇を緩やかにするという利点があります。血糖値が急に上がると太りやすくなってしまいます。
バジルやハーブソルトは食事の満足度を高めてくれますが、手元になければ省いてOK。それ以外の材料は、基本的にコンビニでも手に入ります。トレーニング後に時間がなくても、コンビニで材料を仕入れてワンパンでサクサク作れるのも大きなメリット。ぜひ試してみてください。
まな板不要!サバ缶のワンパンパスタ
カロリー:593kcal
タンパク質:33.9g
【材料(1人前)】
- サバ水煮缶
- 小1個
- スパゲティ
(茹で時間11分前後のもの) - 80g
- カットしめじ
- 1/2袋
- ミニトマト
- 6個
- にんにく
- 1片
(チューブニンニク2cm分でも可)
- レモン汁
- 小さじ2
- バジル
- 適量
- オリーブオイル
- 小さじ1
- 温泉卵
- 1個
- ハーブソルト
- 適量
【作り方】
にんにくを包丁でたたいてつぶす。
フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ、弱火で香りが出るまで炒める。
水気を切ったサバ缶の身の部分を2に加え、大きくほぐしながら炒める。
3に水500ml(分量外)を加える。沸騰したらスパゲッティを加える。
麺をほぐしながら、中〜強火でスパゲッティの袋の茹で時間通りに茹でる。
汁気がなくなる寸前にしめじとトマトを入れて、全体を和える。
汁気がなくなったら、バジルを加えて火を止め、レモン汁を加えて和える。ハーブソルトで味を調える。
皿に盛り付け、温泉卵を乗せる。
【実食MEMO】
しっかり食べ応えのあるサバ、しめじ、トマトのうまみが三位一体。ワンパンで茹でたとは思えないほど、スパゲティの茹で具合が絶妙。温泉卵をつぶして混ぜると、クリーミーさがプラスされる。
河村 玲子
(かわむら れいこ)
メンタル&フィジカルサポートスーパーバイザー。全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会認定パーソナルフィットネストレーナー、管理栄養士。大手フィットネスクラブ勤務を経て、独立。カナダで管理栄養士トレーナーとして活動し、アメリカ・ニューヨークではピラティスを学ぶ。1985年、東京都生まれ。同志社女子大学卒業。
運動と栄養補給は、体づくりの両輪。トレーニングに真面目に励むほど、食事からの栄養摂取にも気を配ることが大切です。でも、「忙しい合間を縫ってトレーニングをすると疲れるし、食事に気を配る余裕がなくなる」という声もよく耳にします。疲れていてもどんなに忙しくても作れる、超手軽で疲労回復も筋肥大もアシストしてくれるレシピを大公開します。教えてくれるのは、トレーナー×管理栄養士の河村玲子さんです。