SpecialVol.35

エニタイムフィットネスの
「PLEASE-ist」制度とは?

ホスピタリティを
形にした取り組み

文・ヘルシアマガジン編集部
写真・加藤潤

全国1,200店舗を展開するエニタイムフィットネスが、今「人」に力を入れています。その象徴が、厳しい認定プロセスを経て選ばれる「PLEASE-ist(プリージスト)」という存在です。接遇スキルと専門知識を兼ね備えた彼ら彼女らは、単なる優秀なスタッフではなく、ブランドの理念を体現する「アンバサダー」。ホスピタリティを形にするこの取り組みには、どんな思いが込められているのでしょうか。

フィットネスクラブを
支えるもの

フィットネスクラブに通い続ける理由は何でしょうか。健康や美容のためなどの動機はもちろん重要でしょう。しかし、それだけではありません。設備の充実度、通いやすさ、料金体系なども大事な要素です。ただ、いくら施設が素晴らしくても、店舗の雰囲気が悪かったり、スタッフとのコミュニケーションがぎくしゃくしていたらどうでしょうか。退会や、店舗変更を考えてしまうかもしれませんね。

つまり、会員が通い続けるかどうかを決めるのは、設備だけではなく「人」という要素もとても大きいといえるでしょう。だからこそ、エニタイムフィットネスは、スタッフの接遇スキルを体系的に育成する独自の制度「スタッフ認定制度」を導入しています。

一人ひとりのホスピタリティが
店舗の特徴になる

「良いブランドは、良いスタッフによって作られる。ブランドの象徴は、最後にお客様に触れるスタッフです」

そう語るのは、株式会社Fast Fitness Japan(FFJ)の執行役員・松沢一輝営業本部長。

「オープン初日はマシンがピカピカでも、時間が経てば施設は古くなります。でも、施設が古くなった分の価値を埋め、さらに価値を高めていくのは、人のサービスです。掃除や挨拶といった基本的なサービスは当たり前。私たちが目指しているのは『ホスピタリティ』です。これは人間性。一人ひとりのホスピタリティが、お店のカラーや特徴になり、会員に愛される要素になるのです」

この思いを形にしたのが、2022年10月から導入された「スタッフ認定制度」です。当初は国内直営店舗を対象にスタートしましたが、2025年度からはFC企業運営店舗を含む国内エニタイムフィットネス全店に拡大。全店・全スタッフのサービスレベルの高水準化と、顧客満足度およびブランド力のさらなる向上を目指しています。

2025年度からは、スタッフのスキルに応じて「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」「PLEASE-ist(プリージスト)」の4段階の認定プロセスを設定。エントリーしたスタッフは、オンライン学習プラットフォームで「接客」「安全管理」「運動指導」「エニタイムフィットネスアプリ」に関する教材を通じた自己学習を行った上で、オンラインテストと集合型の認定演習を経て認定を受けます。

ブロンズでは接客の基本やマシンの使い方を学び、シルバーでは顧客ニーズに応じた柔軟な対応力を習得。ゴールドになると、会員一人ひとりに合わせた運動メニューの作成や、他のスタッフの育成も担当できるレベルに到達します。

最上位のPLEASE-istは、「接遇スキルによって、すべての関わる人々に自発的なサポートをすることにより、心身ともに健康になれる場所をつくることのできる、周りの憧れとなるスタッフ」と定義されています。名称はPERSONAL(パーソナル)、LISTEN(聴く/傾聴する)、EMPATHIZE(共感する)、ANTICIPATE(予測する)、SENSE OF URGENCY(切迫感を持つ)、ENCOURAGE(勇気付ける)の頭文字を取ったもので、エニタイムフィットネスが掲げる会員サービスの基準を表しています。

PLEASE-ist認定までの道のりは非常に厳しいです。オンライン教材での自己学習、オンラインテスト合格に加え、実際の店舗環境を再現した研修施設で実施される2日間にわたる認定演習をすべてクリアする必要があります。認定演習では、学習内容の振り返り、接客対応、安全管理スキルなど、実践的な内容が評価されます。さらに、認定後も2年に1度の更新試験が課され、常に高い水準が求められます。

新たに誕生したPLEASE-ist

2025年10月16日・17日に船橋キャンパス(ららテラスTOKYO-BAY店内)で開催された認定演習会では、新たに11名がPLEASE-istとして認定され、全国で計20名となりました。認定されたスタッフには専用の白いユニフォームと認定証、ネックストラップが提供され、一目でその存在が分かるようになっているほか、PLEASE-istが在籍する一部店舗のホームページでも紹介ページが公開されており、会員が安心してサービスを受けられる環境づくりが進められています。PLEASE-istは自店舗でのサービス提供だけでなく、地域全体の品質向上のための研修開催、好事例の共有、地域イベントへの参加など、今後、幅広い活動を行っていきます。松沢本部長はこう続けます。

「PLEASE-istは全国1,200店舗のスタッフの中から選ばれた、まさにブランドのアンバサダーです。だからこそ、PLEASE-istには失敗を恐れず、たくさん経験し、たくさん勉強してほしいと思いますね。それが究極のホスピタリティを生み出すはずです。PLEASE-ist同士が横のつながりを持ち、情報交換し、学び合うことで、エニタイムフィットネスは唯一無二のブランドになっていくと信じています」

この取り組みは、エニタイムフィットネスがただのジムではなく、「心身ともに健康になれる場所」を本気で目指していることの証しと言えるでしょう。

PLEASE-istたちの声

2025年10月16日・17日の認定演習を経て、PLEASE-istが誕生しました。ここでは、全国のAFから選出された、スタッフの代表として認定を受けた3名の声をご紹介します。

後藤勇人ランデーさん

私自身がエニタイムフィットネスの大ファンで、1号店の調布店など「エニタイムの聖地」と呼ばれる店舗を巡るのが趣味なんです(笑)。だからこそ、この認定制度ができた時には「絶対に取るしかない」と思いました。PLEASE-istとして大切にしているのは、会員や一緒に働く仲間にどれだけ寄り添えるかということ。よく「ユニークなスタッフだね」と言われるので、自分らしさを大切にしながら、会員への思いやりや、何を考えているのかを想像しながら仕事をしています。認定を受けた、今ここがスタートだと思っています。まずは私からPLEASEの精神が全国に広がっていけばいいなと思います。

藤井慎太郎さん

最後のテストで落ちたらどうしようという緊張がありましたが、無事に合格できて本当にほっとしています。これからが本当のスタートだと思っています。まずは身近な店舗のスタッフと、今まで勉強したことを共有していきたい。一人ひとりがPLEASEの精神を理解し、実践することで、より良い店舗を作っていけると信じています。PLEASE-istとして、店舗全体のサービスレベルを高めていくことが私の役割だと思っています。

平山涼太さん

3カ月間、落ちてしまったらどうしようと思いながら勉強してきましたが、合格できて本当に良かったです。PLEASE-istの勉強を通じて、今まで知らなかったこともたくさん学び、それを現場で実践できる環境に恵まれました。インプットした後すぐにアウトプットできる、とても充実した3カ月でした。この経験を通じて一番大事だと思ったのは、スタッフが楽しくいることです。スタッフが暗い気持ちでいると、それが会員に伝わってしまう。まずはスタッフみんなを明るくすることを心がけ、2年後には私の店舗からPLEASE-istを増やして、より良い店舗を作っていきたいと思います。