PeopleVol.11

2.お手入れをして長く着てほしい

性別差を廃止し、ユニセックスなデザインで型数を絞り、代わりにサイズのバリエーションを増やすことで、より多くの人が、自分の体によりフィットする服を選ぶことができるオールユアーズ。このアプローチが、身体的にだけでなく、精神的にも人を服にまつわるストレスから解放することにつながっているようです。木村さんはなぜこのようなブランドコンセプトを考えられたのでしょうか。

●ブランドを立ち上げるまでの経緯を教えてください。

服が好きだったのでアパレルに就職しましたが、そもそも古着が好きで、同じものをずっと着るという価値観が好きだったので、毎シーズン新しい商品を作ってどんどん売らなければならないという業界ルールの中では、自分が本当に好きだったことからだんだん離れてしまっていると感じるようになりました。

また、商品のサイクルを早くしていくと最初にトレードオフされてしまうのが品質です。わたしが好きな古着は1950~60年代の服で、70年も前の服が今もちゃんと着られる。それは素材もいいし、縫製も壊れないようにつくられているからです。でも、今の服の品質では、自分の子どもや孫が服の良さを知ることができないのではないか、お金持ちしか服が楽しめなくなってしまうのではないかと思ったのです。

そういうサイクルに疑問を感じて、品質が良く、長く着られるものをつくりたいと考えてブランドを立ち上げました。

●最近はワンシーズンで使い捨てみたいな服が多いですね。

オールユアーズのお客さまはそこに疑問を感じて買ってくださる方が多いです。わたしたちの商品は耐久性を重視しているので買い替えの周期が2~3年です。いいものを長く着るという趣向の人にとっては、結局安上がりだと言ってくださる方も多いですね。

しかも全部丸洗いできるように作っています。というのは、ケアが面倒くさいとだんだん着なくなってしまうからです。「着ていることを忘れてしまう」というのは、ケアのこともそうだし、汚れることを気にしないで着られるということも含まれます。だから、ジャケットもコートも全部丸洗いできるというのもポイントです。服を買った後のケアの部分までちゃんとフォローしていきたいと考えています。

●丸洗いできるというのはポイントが高いですね。オールユアーズの商品を買うとついてくるハンドブックの最後のページに、洗濯絵表示についての解説が載っていますが、とても役に立ちます。

ありがとうございます。この解説を洗濯機の横に吊るしているお客さまもいます。お客さまが持っている全ての服や、これから購入される他社のものも含めて、どういうふうに洗ったらいいのかを知っていただきたくてつくりました。どんな服もお手入れをして、長く着ていただきたいのです。

●木村さんが提唱されている「新しい普通」というのは、長く着られるということなのでしょうか。

実は新しいことをやっている感じもあまりなくて、むしろ保守的だと思っています。昔は直して着るし、お下がりを着るし、穴があいたら別の布をあてるのが普通だったはずです。オールユアーズでは破けたら直すというリペアのサービスもやっています。今後はサイズが合わなくなった人たちの服を回収するサービスもしたいと考えています。同じものをずっと着たいというお客さまがたくさんいらっしゃるので、気兼ねなく修理したり、買い直したりできるようにしたいと考えています。


3.ファッションの未来:服にまつわる全てを伝えていきたい

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