SpecialVol.40

一つのボールを、全員で追いかけた日
ユニファイドスポーツ®︎
つないだ、仲間との時間

文・ヘルシアマガジン編集部
写真・熊谷義朋

「ユニファイドスポーツ®︎」は、知的障害のある人とない人が同じチームの仲間としてプレーする取り組みです。2026年6月に行われた「2026年第9回スペシャルオリンピックス日本夏季ナショナルゲーム・東京(略称:スペシャルオリンピックス2026東京)」では、スペシャルオリンピックス(略称:SO)アスリート、ユニファイドパートナー、そしてB.LEAGUEの選手たちが一つのコートに立ちました。初対面同士がボールをつなぎ、笑顔を交わし、同じゴールを目指す。その時間の中で見えてきた、スポーツが持つ力をレポートします。

「はじめまして」から、
チームになるまで

サブアリーナでウォーミングアップ

2026年6月6日、東京・江東区青海のTOYOTA ARENA TOKYO。メインアリーナで行われたバスケットボールのゲームは、ユニファイドスポーツ®︎の形式で開催されました。
ユニファイドスポーツ®︎とは、知的障害のある人(アスリート)と知的障害のない人(パートナー)がチームメートとなり、一緒にスポーツをする、スペシャルオリンピックス独自の取り組みです。今回はさらに、SOアスリート、ユニファイドパートナーに加えてB.LEAGUEのゲスト選手らが混合チームを結成し、紅白戦を行いました。エキシビションマッチながら、白熱したゲームが繰り広げられました。

このゲームは「2026年第9回スペシャルオリンピックス日本夏季ナショナルゲーム・東京」の競技会として実施されたものです。ナショナルゲームは、知的障害のあるアスリートたちが日頃のスポーツトレーニングの成果を発表する場として、4年に一度開催される国内最大規模の競技大会です。

バスケットボールだけでなく、都内の各会場ではテニス、バドミントン、陸上競技、サッカー、フライングディスク、卓球の競技が行われました。全国から集まったアスリート、パートナー、コーチの選手団約1,200名をはじめ、多くのボランティアや関係者が、日頃のトレーニングの成果を存分に発揮しました。

コートには、SOアスリートとともに、エニタイムフィットネスの社員やその家族も立ちました。多くの人にとって、この日が「はじめまして」。それでも、挨拶の後に軽くボールを回し、アップを始めると、空気は少しずつ変わっていきます。ドリブルで切り込み、パスをつなぎ、ゴールネットを揺らす。その一つ一つのプレーを重ねるたびに、チームがひとつになっていくのが分かりました。

プロ選手の動きには、思わず目を奪われます。コート全体を俯瞰し、味方を生かすアシストに徹しながら、決めるべき場面ではきっちり決める。その華麗なプレーに、共に戦う選手たちからも笑顔がこぼれていました。

得点が決まればハイタッチを交わし、惜しいプレーには声援が飛ぶ。真剣でありながら、参加者全員でバスケットボールを楽しむ。コートの上には、この競技そのものの魅力が詰まっていました。

プロ選手も感じた、
ユニファイドスポーツ®︎の魅力

左から正中岳城さん、大森康瑛選手(サンロッカーズ渋谷所属)、西山達哉選手(横浜エクセレンス所属)

ゲームに参加した西山達哉選手(横浜エクセレンス所属)は、こう振り返ります。「こういう経験は、今日のようなイベントに参加しないと、なかなかできないものだと思います。参加できたことは本当に嬉しいですし、皆さんと一緒にバスケを通じて楽しめたことが、すごく良かったです」

大森康瑛選手(サンロッカーズ渋谷所属)も続きます。「最初はどんな感じになるのか、分からない部分もありましたが、実際にやってみたら本当に楽しくて。こういう機会がないと、なかなか理解し合えない部分もあると思うので、お互いを知る場があるということは、すごくいい経験だったと思います」

元プロバスケットボール選手であり、トヨタアルバルク東京株式会社アルバルク事業部の正中岳城さんは、「ユニファイドということで、現役選手やOB・元選手も含めて、いろんな皆さんと一緒にプレーできました。私自身にとっても、非常にいい機会になりました」と語りました。

同じ熱量で
同じコートへ

エニタイムフィットネスの社員とその家族も、それぞれの実感を言葉にしてくれました。

古賀丈士さんは「当日組んだチームでしたが、ウォーミングアップから一緒に準備ができたので、試合にも作戦を反映させることができ、強い一体感がありました。チームで連係してシュートが決まったときの感動は格別でしたね。とにかく楽しかったです!」と振り返ります。

村山望さんは「改めてスポーツは素晴らしいなと思いました。初対面でもすぐに仲良くなれるし、全員が同じ気持ちを持って行動できる。バスケをやる上で障害のあるなしは感じず、普段と同じ強度でバスケができました。コミュニケーションも問題なく取れました。今回のゲームを通じて、運動を続けていくことが大事だと改めて感じることができました」と話します。

「普段できない経験ができた」と話す岸さん親子

親子で参加した岸さんファミリーにも話を聞きました。

父の慶徳さんは「親子で貴重な体験ができました。この日のために、練習も親子で一緒にできたんです」と笑顔を見せます。

高校生の息子・蒼悟さんも「普段会うことができない方たちと一緒にゲームができました。コミュニケーションの上で問題は一切なく、お互い自由にプレーができたと思います」と充実した表情で語ってくれました。

9月、舞台はふたたび東京へ

競技を終え、参加者全員と記念撮影

ナショナルゲームは、6月と9月の分散開催。2026年9月4日(金)から6日(日)には、屋内競技を中心とした競技会が都内で行われ、バスケットボール(トラディショナル)も実施されます。トラディショナルは、知的障害のあるアスリートたちがチームを組み、競い合う形式。ユニファイドとはまた一味違う、アスリート同士の熱い絆とプライドがぶつかり合う舞台です。各競技は入場無料で観戦することができます。