TopicsVol.13

「山登りって楽しい!」
低山登山の魅力

2021.08.12

日本は国土の7割を山地が占める「山の国」です。多くの方が子どもの頃に遠足登山をした経験をお持ちでしょう。しかし、遠足登山は大勢で山を登るため、強行軍になることがしばしば。自分のペースで登ることができなかった経験から「登山は苦手」という方もいるのではないでしょうか。『ヘルシアマガジン』では少人数での「低山登山」をおすすめします。自分たちのペースで山を歩き、休みたければいつでも休んでよいのです(ダイエットや脚力のアップにもつながるでしょう!)。今回はモンベル 越谷レイクタウン店の島立店長に低山登山の魅力や持ち物、ルートの決め方などについて伺いました。

低山登山は初心者には最高の選択

モンベル 越谷レイクタウン店 島立店長

低い山を登るのは安全でとても楽しいと思います。山登りというと「高い山頂を目指す」イメージがありますが、高さはなくても、楽しく登ることができる低山にはたくさんの魅力があります。

1人または少人数の仲間で登れば、ゆっくりと登ることができます。疲れたら休むこともできます。これが重要で「自分たちのペースで登れる」というのは疲れにくいんですね。「自由に登れる」という点が楽しく登れる1つの要因かなと思います。

コースが楽で、余裕を持って登ることのできる低山は、これから登山を始める方や久しぶりに登山を再開する方にとって、とてもいい選択だと思います。

山選びはミーハーでよい??

では、どのような山に登ればよいでしょうか。私がおすすめするのは「登山者の多い有名な山」です。なぜかというと、そういう山は情報が多いですし、山登り中にトラブルが発生した場合も周りにたくさんの人がいるから安心です。いくら低山でも何が起こるか分からないのが山なのです。

しかし、いくら有名だからといってもいきなり「富士山に登るぞ!」というのはリスクがあります。行動時間が長く、荷物が増えるため体力が必要です。標高が高く気候の変化も激しいため、高山病のリスクもあります。

皆さんの住んでいる地域にある「登山者の多い有名な山」の名前をいくつか思い浮かべることができると思います。ネットでも情報がたくさん出てくるでしょう。そこから標高の低い山を探してみてください。また、ネットの情報だけではなく、登山のガイド本や山岳雑誌で、山の概要やコースタイムなどの情報を得ることをおすすめします。といいますのも、個人のブログや記録ですと、書いている人の登山レベルがわかりません。一方、専門の雑誌だと、登山レベル(初級、上級など)に対応した情報が記されています。そして、必ず登山に持っていってほしいものがあります。

山登りに持っていきたい「あるもの」とは?

それは「地図」です。登りたい山が決まったら「地図」を手に入れてください。雑誌に載っている山岳地図でもOKです。地図からは「どれぐらいの時間で登れるか」や「標高差がどれくらいあるか」などの情報がわかります。アプリやスマホの地図でもいいのですが、万が一スマホが壊れたり、電源が切れてしまった場合、地図なしで山を登ることになります。

「低い山だから、地図なんていらないだろう」と思われるかもしれませんが、行程に余裕がある場合は地図を読み解く練習にもなります。それに、地図を見ればはるか先の山の名前を知ることができます。「あの山に今度登りたいな」と、次の目標も生まれるかもしれませんね。低山でも、地図を持って登る習慣を持って欲しいと思います。

地図を見ると「どれぐらいの時間で登れるか」が把握できます。そうすれば何時に家を出て、何時に山頂に着くか、何時に下山できるかがわかります。目安があれば、計画よりも遅れているかどうかがわかりますよね。体調が優れない日もあるかと思います。早い段階でそれがわかれば、「途中で諦める」という判断材料にもなります。地図を持って歩けば、「自分は少し遅いんだな」とか「割と体力があるんだな」ということを客観的に知ることができますので、次の行動につながります。そういう面から考えても地図は重要ですね。

低山だから安心……
というわけではないんです

「低い山なら1人でもいいのでは?」と思われるかもしれませんが、仲間と行くことをおすすめします。思わぬケガや病気、熱中症や低体温症になる可能性もあります。そのような時、仲間がいれば互いにサポートをしたり、緊急時には救助を呼ぶこともできます。

気をつけていただきたいのが「道迷い」です。ほとんどの場合、登山道が整備されていますが、土砂崩れや雪解けによって登山道が不明瞭になったり、寸断されることがあります。また、ふとした瞬間に道を外れ、迷っていってしまうことも。余裕がある低山だからこそ、油断して進んでしまうことがあるからです。

服装面では、長袖長ズボンをおすすめします。暑いと肌を露出した半袖短パンで登りたいところですが、長袖やアームカバーで虫や紫外線、ケガから肌を守ってください。

登山では、レインウエア、ザック、登山靴を必ずお持ちください。あと日帰り登山でも、ヘッドランプはぜひお持ちください。秋山や冬山は日没が早く、すぐに暗くなってしまいます。山は木に囲まれていますので、街は明るくても、森の中だとすぐに暗くなってしまいます。そして、もし何かあったときに、助けを呼ぶための明かりにもなります。お守り代わりにヘッドランプは必ず持って行って欲しいと思います。

お弁当などの食料は必須ですが、歩きながらカロリーを取ることのできる行動食もあると安心ですね。お弁当でなくても、現地でお湯を沸かして簡単に調理(お湯を注ぐだけですが)できるフリーズドライの食料も軽くていいですね。今はドライフードの質がとても上がっていて、驚くほどおいしいものが多いんです。

低山登山の楽しさってなんでしょう

低山登山の魅力は、なんといっても時間に余裕があることでしょう。自分のペースで登って、山頂でゆっくりして、ゆっくり下りてくる。時間に急かされないで自然を楽しめるというのはすごく魅力かなと思います。

自然の中でゆったりと過ごすことはリフレッシュにもなります。お昼に簡単な調理をしたり、お湯を沸かしたりしてコーヒーを飲むのもいいですね。山で食べるカップ麺もすごくおいしいですし。

低山登山には楽しいことがたくさんあります。けれど、その中にどういったリスクがあるか、天候の急変や道迷いなどトラブルを想定した準備・行動をしていただきたいと思います。山歩きを楽しみながらも、絶対に無理はしないでください。近場の低山でしたら、また次の機会に行けばいいんですから。自然のリスクを忘れずに、低山登山を楽しんでいただけたらと思います。

取材協力:モンベル
https://www.montbell.jp/
撮影協力:モンベル 越谷レイクタウン店https://store.montbell.jp/search/shopinfo/?shop_no=618908

Follow us!

PICK UP!