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動けるカラダになろう!
ファンクショナルトレーニング
ABC

第1回

ファンクショナルトレーニング概論
初めてのファンクショナルトレーニング

ファンクショナルトレーニングってなんですか?

ファンクショナルトレーニングって知っていますか?パフォーマンス向上のためにトップアスリートも取り入れている、最近話題のトレーニングです。

「Functional(ファンクショナル)」は直訳すると「機能的」という意味。
「機能的」とは具体的にどういうことなのでしょう。

もともとはリハビリに活用

ファンクショナルトレーニングは、もともとケガや病気で本来の動作ができなくなってしまった患者さんが運動機能を取り戻すことを目的に、理学療法士や作業療法士がリハビリテーションで活用していた運動指導法です。

つまり、「機能的」というのは、その人がどういう動きを必要としていて、どういう動作ができるようになりたいのかという目的に合わせて、スムーズに動ける体をつくる=機能的に動けるようになるためのトレーニング方法です。

マシントレーニングと何が違うの?

マシントレーニングは筋力をアップするトレーニング。マシンは、それぞれの筋肉が効率的に鍛えられるように設計されています。正しく使えば誰でも狙った筋肉を鍛えることができます。

一方、ファンクショナルトレーニングは、自分の体をコントロールし、動きをよくするためのトレーニングです。人間は筋肉や関節などさまざまな部分が連動して動くので、目的とする動きの中でその人が持っている身体能力をより発揮できるようにするためのトレーニング方法です。

どんな効果があるの?

ファンクショナルトレーニングによって動きがスムーズになるので、まずケガをしにくくなります。また、体幹が鍛えられるので、どんな動きでも、力が体の末端までしっかり伝わるようになります。

さらに、体幹が鍛えられることで、姿勢がよくなり、肩こりや腰痛の予防にもなります。内臓が正しい位置に戻り、ぽっこりおなかが解消されてウエストが引き締まります。代謝もよくなるのでシェイプアップも期待できます。

まとめると

① スポーツはもちろん、日常生活でも体幹を使った効率の良い動きができるようになる
② 関節の可動域が大きくなる
③ 姿勢がよくなる
④ ケガをしにくくなる
⑤ 肩こりや腰痛予防
⑥ 代謝が上がるのでシェイプアップ効果が期待できる

なんだか、いいことばかりじゃないですか?

どんな人がやるといいの?

最近体の動きが鈍くなってきた、何もないところでつまずく、おなかが出てきた、ちょっと体重が増えてきたという人におすすめです。普段運動をしていない人こそ、ファンクショナルトレーニングの効果がでます。

また、スポーツをしているけど最近成績が伸び悩んでいる、筋トレをしているけどなかなか効果が上がらない、そういう方も、ファンクショナルトレーニングで体幹と動きを鍛えると、パフォーマンス向上が期待できます。

ファンクショナルトレーニングの5大原則

では、どうしてこのような効果が期待できるのでしょうか。

ちょっと専門的な話になりますが、ファンクショナルトレーニングには5大原則があります。


1.重力【 gravity 】を利用する
2.分離【 dissociate 】と協同【 integrate 】
3.運動連鎖【 キネティックチェーン(kinetic chain) 】
4.3面運動【 3 dimension movement pattern 】
5.力の吸収【 loading 】と力の発揮【 unloading 】


1.重力【 gravity 】を利用する

人間は地球上で生活をするかぎり、常に重力に影響を受けているので、体の機能を高めるためには重力に耐えられる体=体幹がしっかりした体をつくることが必要です。そのため重力を利用したトレーニング=自重トレーニングを活用します。

2.分離【 dissociate 】と協同【 integrate 】

動きを分解して、それぞれの筋力や関節の動きを個別にトレーニングし、さらにそれを組み合わせてトレーニングして、機能的な動きを目指します。体幹をしっかり固定して、他の筋肉を動かすトレーニングなどです。

3.運動連鎖【 キネティックチェーン(kinetic chain) 】

人間が動くためにはたくさんの筋肉が連動して働く必要があり、さらに、筋肉だけでなく、神経や、心肺機能や代謝など全身の機能が協調して働くことで機能的な動作が生まれます。そのため全身運動を行います。

4.3面運動【 3 dimension movement pattern 】

人間の動作は前後・左右・水平面の3つの面で起こっているので、トレーニングでも3面の動きを考えて行います。

5.力の吸収【 loading 】と力の発揮【 unloading 】

人間が動作する時、力を発揮する前に力を吸収することを利用します。例えば、ジャンプする時、飛び上がる前に軽くしゃがみ込んでからジャンプするとより高く飛べますよね。トレーニングでも力の吸収と発揮の動きを取り入れます。

ファンクショナルトレーニングは、この5大原則が相互に作用するトレーニングです。5大原則にそって、効率の良い機能的な動きを身につけますが、基本となるのは、体幹をしっかり鍛えることです。

世界最速の男も体幹を鍛えた

世界最速の男、ウサイン・ボルト選手が生まれつき脊柱側湾症という病気を抱えていたことは有名な話です。ボルト選手は背骨が曲がっているせいで骨盤が過剰に動き、太腿裏の筋肉(ハムストリングス)が引っ張られ、肉離れや腰痛、アキレス腱の損傷などのケガに悩まされていました。

脊柱側湾症を克服するためにボルト選手がやったことは、体幹の筋肉を徹底的に鍛えること。曲がった背骨を守るために始めた体幹の強化が、他の短距離選手にはない力強い蹴り上げる力=推進力をもたらし、結果的にボルト選手を「世界最速の男」にしたのです。

やってみよう、ファンクショナルトレーニング

「世界最速の男」になるつもりはなくても、ファンクショナルトレーニングはあなたの毎日をちょっと楽にしてくれるはずです。スムーズに動けるカラダ、転ばないカラダ、ケガをしないカラダ、使えるカラダ、そして美しいカラダに近づくために、ファンクショナルトレーニングを始めましょう!

次回からはファンクショナルトレーニングのプログラムをご紹介します。

参考:
『ファンクショナルトレーニング 機能向上と障害予防のためのパフォーマンストレーニング』中村千秋編 株式会社文光堂

NHKスペシャル「タモリ×山中伸弥 超人たちの人体」(NHK)

動けるカラダになろう!ファンクショナルトレーニングABC
第2回 ファンクショナルトレーニング概論
第3回 自重トレーニング & バランスボール

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