連   載

You are what you eat
あなたは食べたものでできている

第4回

エモーショナルイーティング
(ストレス食いとの向き合い方)

—ストレスも罪悪感も、さようなら ギルトフリーアイスクリーム—

「健やかなカラダとココロをつくるには、日々の食事マネジメントが欠かせません」。そう語るのは、米国政府認定ホリスティックヘルスコーチの資格を取得し、食事や運動、マインドフルネスの領域で幅広く活躍するMonamiさんです。「食事と健康」をテーマにしたこの連載では、NY発の新しい栄養学の知識を交えながら、みなさんが今すぐ実践できる食事術をたくさんご紹介していきます。
今回のレシピ【ストレスも罪悪感も、さようなら ギルトフリーアイスクリーム】はこちらから!

ストレスを感じると、お腹が空いているわけではないのに、ついつい食べ物に手が伸びている、ということはありませんか?

お腹は満たされているのに、感情に左右されて食べることを「エモーショナルイーティング (感情的摂食)」と呼びます。

仕事で失敗した日の夜。「もう、やってられない!」と晩ごはんをビールで流し込み、さらに〆のラーメンまで食べてしまった。

恋人と別れた後、急に独りぼっちはなんだか寂しくて。チョコレートやクッキーなど甘いお菓子をむさぼり食べていた。

徹夜で試験勉強。なかなか読み進まぬ教科書片手に、ポテトチップスをバリバリ。気付いたら、まるまる一袋食べていた。

実は…恥ずかしながら、これらはすべて、わたしの個人的なエモーショナルイーティング体験談です。皆さんにも、似たようなエピソードはありませんか?

そもそも、エモーショナルイーティングは、なぜ起きるのでしょうか?今回は、その原因とメカニズム、回避する食事術についてお話しします。

エモーショナルイーティングとは?

エモーショナルイーティングとは、「お腹が空いた」とカラダが食べ物を欲する人間本来の食欲とは別に、感情の赴くままココロを満たすために食べること。「ストレスイーティング (ストレス食い)」や「衝動食い」「やけ食い」と呼ばれることもあります。

感情にも色々ありますが、とりわけ、イライラや気分の落ち込み、不安や不満、孤独、退屈、疲れ、眠気といったネガティブな感情が、エモーショナルイーティングの引き金になりやすいといわれています。

本来わたしたちは、食事をしない時間が長引くにつれ、徐々にお腹が空いてきます。生命活動に必要なエネルギーを食べ物から摂取するためです。しかし、エモーショナルイーティングの場合は、空腹感を突然感じ、衝動的に食べ物を口にしたくなります。

バランスがいい食事というより、特定のものがどうしても食べたくなるのも、エモーショナルイーティングの特徴です。特に、ファストフードやスナック、スイーツ、インスタント食品など脂質や糖質が多く含まれ高カロリーなものを食べたくなる傾向が指摘されています。また、男性に比べると、女性の方がストレスのはけ口を食べ物に求めやすいことも分かっています参考1

エモーショナルイーティングの原因とメカニズム

エモーショナルイーティングの最大の原因は、過剰なストレスです。

仕事のプレッシャーや人間関係のトラブル、将来に対する不安であったり、無理なダイエットや寝不足など、心身がストレスを受けると、脳が副腎皮質を刺激し、コルチゾールが分泌されます。

コルチゾールは、「ストレスホルモン」とも呼ばれ、血糖値や代謝を調節したり、免疫を活性化させるなどして、カラダをストレス状態から守る働きをしてくれるものです参考2

いったんパニックモードが落ち着けば、カラダは元の状態に戻ろうとするので、コルチゾールも正常値に戻ります。しかし、ストレスが慢性化し解消されないままだと、コルチゾールが高止まりします。

コルチゾールの過剰分泌はやがて、食欲に関わるホルモンのバランスを乱し、食欲を増進させてしまいます。その結果、高脂質・高糖質・高カロリーなものを「つい食べ過ぎる」、という行動が引き起こされると考えられています。参考1

「食欲をコントロールできないのは、意志が弱いせいだ」、と自分を責めてしまいがちですが、こうした脳と食欲のメカニズムを理解しておくと、〆のラーメンも、真夜中のポテトチップスも、腑に落ちます。

エモーショナルイーティングの悪循環

エモーショナルイーティングでは、食べることで一時的にネガティブな感情を紛らわそうとするわけですが、残念なことに、食べ物によって得られる多幸感は、長くは続きません。それどころか、後々、食べたことに対する後悔や罪悪感さえ感じてしまう人も少なくありません。

エモーショナルイーティングは、高ストレス社会を生き抜くために、わたしたちに必然的に備えられた術なのかもしれません。しかし、はじめは、イライラ・モヤモヤ解消のためによかれと思って食べたはずなのに、それが結果として新たなストレスを生み出し、エモーショナルイーティングが止まらない。気付けば太って不健康になっていた…。そんな悪循環は、できれば避けたいですよね。

エモーショナルイーティングの悪循環に陥らないためには、エモーショナルイーティングを自覚するのが、何よりも大切です。そこで、おすすめしたいのが、「マインドフルイーティング」という食事術です。

「マインドフルネス」とは、先入観や雑念にとらわれず「今、この瞬間」に五感をフォーカスさせることを指しますが、「マインドフルイーティング」とは、これを食習慣に応用したものです。選んでから食べるまで、食事の全プロセスに意識を集中させることで、食事体験をより豊かなものにする方法として、関心が高まっています参考3

今すぐできる 簡単マインドフルイーティング

1.空腹を感じたら、まずは、深呼吸
空腹感から少し時間と距離を置くように、気持ちを落ち着かせると、カラダが必要なエネルギーを摂取したいという「本物の食欲」なのか、感情に引っ張られた「偽物の食欲」なのか見分けやすくなります。「なぜ今、それを食べたいのか」、自分自身に問いかけてみましょう。

2.材料の質にこだわり、丁寧に準備する
ネガティブな感情だけに任せると、高脂質・高糖質なものに走りがち。健康にとって、少しでもプラスになると思える材料を意識的に選びましょう。調理する際もマインドフルネスを忘れずに。

3.五感で食べる
食べることに集中できる環境をつくります。テレビを消し、パソコンやスマートフォンを脇に置いて、五感を総動員させて食べ物を味わいましょう。「ながら食べ」をやめると、腹八分目に気付きやすくなり、食べ過ぎを防ぐことができます。

食体験を健康で、楽しく、幸せなものに

本来、食べることは、カラダに必要な栄養を摂取する手段であると同時に、楽しく、幸せな体験であるべきです。ですから、「ああ、こんなに食べ過ぎちゃった……」という罪悪感ではなく、食事はいつでも感謝の気持ちを込めた「ごちそうさま!」で締めくくれたらいいな、と日々考えています。

そんなわたしが今回ご紹介するレシピは、ストレスがたまって甘いものが食べたい衝動に駆られたときでも、罪悪感なく食べられるように。そんな思いを込めて考えたスイーツ、その名も「ストレスも罪悪感も、さようなら ギルトフリーアイスクリーム」です。

主な材料は、アボカド、ヨーグルト、ハチミツ。たったこれだけ。通常のアイスクリームは、牛乳、生クリーム、上白糖と卵黄を用いて作りますが、ギルトフリーアイスクリームは、牛乳、生クリームの代わりにアボカドとヨーグルトを使うことで、 第2回「いい油と悪い油」でお話しした悪い脂質を抑え、いい脂質をプラスしています。

アボカドには、 第3回「腸内環境を整える」で触れた食物繊維も豊富ですし、ヨーグルトには乳酸菌が含まれています。そして、精製された砂糖ではなく、天然でより栄養価の高いハチミツを使うのがポイントです。ハチミツは、砂糖の1/3の量で同程度の甘さを引き出すことができるといわれているので、カロリーオフの一工夫にもなるんです。所要時間は冷やし固める時間も含めて1時間程度。冷凍庫に常備しておけば、突然の空腹にもバッチリ対応できます。

出来上がりの固さは、冷やす時間を変化させることで、シャーベットのようなシャリシャリ感やジェラートのようなねっとりとした感じをつくり出すことができます。

固まりすぎたと感じたら、常温でしばらく放置してからスプーンなどで空気を入れるようにかき混ぜたり、袋の上から手でもむようにして、調節してみてください。

「マインドフルイーティング」の実践方法を思い出しながら、楽しく作って、美味しく召し上がってください。これからの季節、お風呂上がりや運動の後にもピッタリだと思います。

【今回のレシピ】

ストレスも罪悪感も、さようなら ギルトフリーアイスクリーム

材料

アボカド……1個
プレーンヨーグルト……100g
ハチミツ……大さじ1〜2
レモン果汁……少々
ダークチョコレート……適量
ミントの葉……適量

用意するもの

ジッパー付き保存袋

作り方

  1. アボカドは、皮と種を取り除いてから、ジッパー付き保存袋に入れる。変色防止のため、レモン果汁を加えたら、袋の上から手でもむようにして、なめらかになるまで潰す。
  2. プレーンヨーグルトとハチミツを加え、全体が混ざるように、さらにもむ。ここでは、甘さ控えめにしておいて、後から追加のハチミツをトッピングするのがおすすめ。
  3. ジッパーを閉じて、冷凍庫で冷やし固める(約1時間)。
  4. 器に盛り、お好みで砕いた(または削った)ダークチョコレート、ミントの葉、ハチミツをトッピングして出来上がり。

Monami
世界最大の栄養学専門学校 Institute for Integrative Nutrition(IIN™)にて米国政府認定ホリスティックヘルスコーチの資格を取得。食事や運動、マインドフルネスを通して、健康で幸せなライフスタイルづくりのサポートをしている。アメリカ、カナダ、フランス、モンゴル、香港での居住経験を生かした異国情緒あふれるヘルシー料理が得意で、レシピ監修やプライベートのフードデリバリーも行っている。趣味はトレイルランニング、ヨガ、ブラジリアン柔術。

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