Member’s StoryVol.10

みんなの初夢キャンペーン夢への挑戦、応援レポート
第8回

夢はオリンピック出場!フェンシングで世界に挑戦したい!!

文・ヘルシアマガジン編集部
写真・香西寛司

目標に向かってトレーニングするすべての方を応援する特別企画「みんなの初夢キャンペーン2023」。2023年の挑戦者、山口李世(やまぐちりぜ)さんはフェンシングでオリンピックに出場したいという夢を持っています。山口さんは現在高校3年生。昨年のインターハイではフェンシング男子サーブルで見事に優勝しました。今年は最後のインターハイ。もちろん連覇を目指します。オリンピック出場という夢の実現のためには、日本フェンシング協会のランキングで上位に入り、世界選手権出場を果たさなければなりません。世界選手権出場を懸けて試合を転戦する山口さんの挑戦を追いかけました。

チャレンジャー:山口李世さん

プロフィール

2005年埼玉県出身。法政第二高等学校フェンシング部。4歳から極真空手を始め、黒帯取得。二度極真空手の世界チャンピオンに輝く。
現在はフェンシングで2028年オリンピック出場を目指している。
昨年のインターハイではフェンシング男子サーブルで優勝。2022フェンシングワールドカップドイツドルマーゲン大会に出場。
エニタイムフィットネス大宮駅前店利用。ハイスクールパス会員。

チャレンジャー:山口李世さん

オリンピックに出場したい!

小さい頃から極真空手を始め、二度もチャンピオンになった山口さんがフェンシングに転向したのは、オリンピックに出場したいから。フェンシングはヨーロッパでは人気のスポーツですが、日本ではまだ競技人口が多くありません。空手よりも可能性が高いと考え、フェンシングでオリンピックを狙うことを決めました。

フェンシングには「フルーレ」「エペ」「サーブル」の3つの種目があります。山口さんの種目はサーブル。「斬り(カット)」と「突き」があり、ダイナミックな攻防が見られるのが特徴です。各種目で世界選手権に出場できるのは4名。初夢キャンペーンに当選した時点での山口さんのランキングは7位(男子サーブルジュニアU-20)でした。このままでは世界選手権に出場できません。高校生活最後の今年、ランキングを上げて2024年の世界選手権に出場し、2028年のオリンピックロサンゼルス大会出場に向けて前進する、それが今回の「エニタイムみんなの初夢キャンペーン」応募時の目標です。

公式戦を戦い続ける
体力と精神力をつける

フェンシングのランキングは、ランキング対象大会として位置付けられた国内大会の結果(順位)に対して付与されたポイントによって決定します。選手はいくつもの大会に出場し、ポイントを獲得していかなければなりません。公式戦で勝ち続けるためには、フェンシングの技術だけではなく、持久力、回復力、精神力など、さまざまな能力が求められます。

山口さんが自分に足りないと感じていたのは体力。2023年7月からインターハイや日本フェンシング協会主催の大会を転戦していくためには、まず戦い続けることができる持久力と精神力をつけていくことが重要です。

まずは、お笑い芸人としてもファンであり、トレーニーとしても憧れだという野田クリスタルさんにパーソナルトレーニングを依頼しました。まだトレーニング歴3カ月だった山口さんに対して、野田クリスタルさんはトレーニング時の姿勢や体の使い方など、筋トレの基本を伝授。そして、メンタルが弱いことが課題だという山口さんに対して、柔道家ウルフアロン選手と対談した時のことを話してくれました。

「ウルフアロン選手は最低のコンディションでも優勝できるくらい練習したそうです。メンタルが弱くても勝てるくらい練習すればいいんだ。弱くていいじゃないか!メンタルなんて」。

スペシャルトレーナー:野田クリスタルさん

お笑いコンビ「マヂカルラブリー」のボケ担当。1986年神奈川県出身。趣味はゲーム、パソコン、バスケットボール、筋トレ。漫才頂上決戦『M-1グランプリ』 2020年優勝、ピン芸日本一決定戦『R-1ぐらんぷり』2020年王者。吉本興業所属。

下半身の強化と持久力向上
プレースタイルを変えながら
試合に挑む

世界選手権出場に向けたパーソナルトレーニングは、石井基善(いしい もとよし)さんにお願いしました。フェンシングでは、前後に激しく動きながら剣を動かすため、下半身の動きも重要になります。これまで上半身中心のトレーニングを行っていた山口さんに、下半身を鍛えるメニューも取り入れることをアドバイス。全身の筋肉がスムーズに連動し、下半身の力を上半身へと伝えるためには、下半身の筋肉もしっかりと鍛える必要があるからです。

スペシャルトレーナー:石井基善さん

1973年東京都出身。トレーナー歴27年。水道橋博士やオードリー春日など著名人のトレーニング指導や格闘家の指導者としても活躍。パーソナルトレーニングジム石井道場主宰。
https://ishiidojo.com/

石井さんのパーソナルトレーニングが始まって間もない2023年7月上旬、今シーズン最初の東京都選手権大会での試合は残念ながら準々決勝敗退。筋トレによる変化はまだ感じられなかったようです。

「前回のシーズンからスタイルを変えて挑んだ試合だったのですが、準決勝に行く前の準々決勝で負けてしまいました。しかし、課題が見える形で終わりました」。

7月下旬の2回目のパーソナルトレーニングでは、これから続く重要な大会に向けて、疲労を残さないような自重トレーニングやチューブを使ったトレーニングなどを中心に、可動域を広げるメニューを実施。

「“体の動かし方を鍛える”感覚で、負荷は少ないけど脳と体に新しい刺激があり、新鮮な気持ちで取り組めました」

しかし、8月初旬のインターハイは直前に発熱し、体調が万全でない中で試合に臨んだため、思ったような結果を出せませんでした。

「インターハイ前の韓国合宿で韓国選手のプレーを見て、今のスタイルだと無駄な動きも多く勝てないと思ったので、よりコンパクトに、スピードを意識したスタイルに変えました。インターハイまで2週間ないタイミングだったので、完璧に仕上がっていない状態で、熱もあり結果につながりませんでした」。

そこで、8月後半の3回目のパーソナルトレーニングでは、瞬発力とスタミナをつけることを目的としたトレーニングを中心に実施。普段の練習にも組み込めるよう、一人でできるメニューも教えてもらい、次の試合に備えます。

トレーニングを始めて4カ月
ついにトレーニングの成果が!

スタイル変更とトレーニングの効果がでたのは、10月下旬のProud Numazu Cup。準決勝まで勝ち進み、見事3位入賞。

「予選も全勝できたし、集中して相手の動きも見えていた感じです。9月末の牧杯ジュニア選手権と10月初旬の日田市ランキングマッチで、新しいプレースタイルがうまくいっている実感がでてきました。スピードなど緩急をつける部分で、石井さんに教えてもらった瞬発力をつけるトレーニングがプラスになっていると思っています」。

ジュニア選手権とランキングマッチの後に4回目のパーソナルトレーニングがあり、石井さんから瞬発力をつけるためのトレーニング「ハイクリーン」と、チューブを使った肩のトレーニングを教えてもらった山口さん。スタミナをつけるために毎日5キロ走ることも課されました。

「下半身のトレーニングの効果で足がよく動いていました。上半身のトレーニングで背中にも筋肉がついた実感があり、剣が今までより軽く感じて自由に動かすことができました。持久力についても、準決勝まで勝ち進んでいったわけですが、今までより疲れを感じなかったです」。

5月から続けてきたトレーニングとフェンシングスタイルの変更の効果が、ここにきてようやく実を結んだようです。

そして、うれしい知らせが。10月のProud Numazu Cupの結果により、山口さんのフェンシングワールドカップへの出場が決定しました!

会場には全国から寄せられた応援メッセージ入りの横断幕も。

「たくさんの応援メッセージを見てありがたいなと思いました。『フェンシングを世界に広めてほしい』というメッセージがあり、日本ではフェンシングはあまりメジャーじゃないので少しでも皆さんに知っていただくきっかけになれたらなと思いました」。

次は世界選手権出場を懸けたJOCジュニア・オリンピック・カップ・フェンシング大会が、2024年1月に開催されます。最後に山口さんから応援してくださっている皆さんにメッセ―ジをいただきました。

「いつも応援ありがとうございます。JOCでは絶対に結果を残さないといけないので、それまでエニタイムのトレーニングと、フェンシングの技術磨きを毎日して、世界選手権に出られるように頑張ります。応援よろしくお願いします」。

山口さんの挑戦はまだまだ続きます。皆さん、引き続き応援よろしくお願いします!

2023年6月のトレーニングから、10月の大会までの初夢実現に向けての様子を動画でまとめています。こちらの動画をご覧ください!